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いきいきOB訪問2

沖縄の古典音楽を未来へ継承する

西江喜春さん

那覇市の自宅兼研究所
那覇市の自宅兼研究所

三線と歌の修業に励み、仕事と琉球古典音楽の演奏家としての活動を両立させてきた西江さん。平成23年には人間国宝(国指定重要無形文化財)に認定された。琉球古典音楽を後世に伝承していくための取り組みなどについてお話を伺った。

本文

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沖縄の古典音楽を未来へ継承する(PDFファイル 383KB)

サイドストーリー

気さくで温かな人柄に触れて

「人間国宝」という重みのある称号から、厳めしい人物を想像していた取材チーム。だが、那覇市の自宅兼研究所を訪れて、実際に話を伺った西江喜春さんは、気さくで温かな人柄だった。われわれの無理な注文にも、嫌な顔をすることなく応じてくださった。

「組踊」はオペラ

訪問したのは、沖縄が梅雨入りした直後。取材当日も、朝から雨模様で、一時はスコールのように激しい雨が降った。だが、訪問時にはまぶしい太陽が顔を出し、雨上がりの庭は緑が美しく映えていた。

そんな中、西江さんが三線を手に、素晴らしい歌声を披露してくださった。曲は組踊の代表曲のひとつである『かぎやで風説(かじゃでぃふーぶし)』。感情たっぷりに歌い上げる。正直なところ歌詞はよくわからないが、そこに込められた思いは自然に伝わってくる。何とも言えないエキゾチックな風が、心の中を吹き抜けていく。

西江喜春さん

「組踊はオペラです」。そう西江さんは説明した。「歌、唱え(セリフ)、所作(踊り)の三つが三位一体になってつくり出す歌舞劇。どれが欠けても成立しません」。かつて琉球王朝時代に中国皇帝の使者である冊封使(さくほうし)を歓待するために、踊奉行であった玉城朝薫(たまぐすくちょうくん)が、能楽をはじめ歌舞伎などの江戸や上方の芸能を参考にしつつ、琉球の歴史や故事、説話などを取り入れて創り出したといわれる。

「歌われるテーマとしては、恋愛はほとんどなく、“親孝行”“主君への忠義”など、人としての生きる道を示す作品が多いですね」と、西江さん。組踊は能楽や歌舞伎、人形浄瑠璃文楽と同じように国指定重要無形文化財となっている。

西江さん愛用の三線
西江さん愛用の三線

古典といえば、一部の人だけが愛好するもののように思うかもしれないが、そうではない。西江さんは、「琉球古典音楽は一部の人のものではなく、みんなのものです。私が属する安冨祖流に加え、野村流、湛水流という流派がありますが、特に宗家があるわけでもなく、各流派が自由に芸を継承しています」と語る。

芸の道を究める厳しさ

西江さんの子どもたちは、娘さんが太鼓を奏するものの、歌三線の世界に入るものはいなかった。「そこはちょっと残念」と本音を打ち明けるが、それでも悲観してはいない。この研究所で稽古をつける弟子たちをはじめ、多くの若者が西江さんから歌三線を習っており、後継者には事欠かない。

実は、今回動画に収録された演奏は二度目のもの。最初の演奏は西江さん自身が納得せず、音を上げてもう一度演奏し直した。そこに、人間国宝として芸能の道を究めた厳しい表情が見て取れた。一切の妥協を排してより高い所を目指す厳しさと、沖縄の風土そのままのおおらかで温かな人柄を併せ持つ。西江喜春という人物の奥深さを感じながら、われわれは取材を終えた。

三線

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(LA No.177)

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