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電話局のある風景

お伊勢さんの歩き方

本紙では紹介しきれなかった、「お伊勢さんの歩き方」を紹介します。

親しみを込めて「お伊勢さん」と呼ばれる伊勢神宮ですが、正式名称は、単に「神宮」といいます。そして「神宮」は、ひとつの神社の呼び名ではありません。よく知られた内宮(ないくう)と外宮(げくう)および別宮など125社神社の総称です。その広さは広大で、伊勢市の四分の一を占めます。

天照大御神(あまてらすおおみかみ)をお祀りする内宮は皇大神宮(こうたいじんぐう)、豊受大御神(とようけおおみかみ)をお祀りする外宮は豊受大神宮(とようけだいじんぐう)といいます。大御神を祀っている社を、御正宮(ごしょうぐう)といいます。

天照大御神は太陽に例えられる皇室のご先祖の神であり、我が国で最も貴く、国家の最高神とされています。豊受大御神は天照大御神の食事を司る神であることから、すべての産業の守護神とされています。(伊勢神宮ウェブサイトより)

さて、お伊勢さんを歩いてみることにしましょう。
外宮から内宮へ回るのが慣わしのようですが、「正式」というのなら二見浦で禊ぎを済ませてからという説もあります。ならば、二見浦夫婦岩のご来光から初めてみましょう。二見浦には情緒豊かな旅館街あります。朝食前に日の出を拝み、海岸を散歩して手洗いなどして禊ぎのまねごとなどするだけでも、とても豊かな気持ちになれそうです。

ところで筆者は以前、九州の福岡にある宗像大社の沖津宮(沖ノ島)を取材で訪れたことがあります。その時入島前に、海で禊ぎをしました。スッポンポンです。下着も水着も褌もなしの素っ裸です。それが本式の禊ぎの仕方であり、禊ぎ無しでは入島できないのですからやるしかありません。大社の方からは「形だけでいいですよ」と言っていただいたものの、形とは首まで海水につかり顔を洗うというものです。海から上がって入れていただいたお風呂の温かさは今でも忘れません。

閑話休題、私たち取材班は伊勢市内のビジネスホテルに宿泊しました。翌日の天気は曇り空でした。残念ながら二見浦の夫婦岩から昇る朝陽の写真はありません。もしも天気が良く早起きできたなら、5月〜7月は注連縄(しめなわ)のかかる夫婦岩の間のから昇る朝陽が拝めることでしょう。夫婦岩のちょうど真ん中から昇るのは、夏至の頃だそうです。

夫婦岩の方角は東ですから、もちろん月も昇ってきます。冬の11月〜1月には岩の間から昇る満月を眺めることができるそうです。

二見浦の「夫婦岩」
二見浦の「夫婦岩」

さあ、お伊勢さんをお参りしましょうか。
いや、その前に作法を確認しておきましょう。

参拝の作法

内宮の宇治橋鳥居
内宮の宇治橋鳥居
内宮の手水舎
内宮の手水舎

  1. 鳥居をくぐる。
    鳥居の内側は神聖な場所です。足を踏み入れる前に立ち止まって一礼します。
  2. 手水舎(てみずしゃ、ちょうずや)で身も心も清める。
    一般的な作法は、次の通りです。
    • 「右手で柄杓を持ち、水をすくって左手を清める」
    • 「柄杓を左手に持ち替えて、右手を清める」
    • 「柄杓を右手に持ち替えて、左手のひらに水を溜め口に含んで静かに濯いでから口元を隠してはき出す」*柄杓には口をつけない。
    • 「左手を濯ぐ」
    • 「両手で柄杓の柄を持って先端を上げ柄に水を流して清め、元の場所に戻す」
  3. 参拝する。
    お参りの作法は「二拝二拍手一拝」が正式なやり方です。
    拝とは深く(90度)丁寧なおじぎのことです。
    拍手は胸の前で打ちます。慌てず落ち着いて、ゆっくりと動作しましょう。
  4. 鳥居をくぐる。
    帰りに鳥居をくぐり抜けたら、感謝の気持ちを込めて一礼します。

*作法というよりはマナーの問題ですが、神宮敷地内の植物や土、石などを持ち帰ったり、木々や建物などに触れたりしてはなりません。もちろん、飲食も慎みましょう。ペット連れは禁止されていますが、入口の衛士見張所で預かっていただけます。写真撮影は、御正宮前以外のほとんどの場所で可能なようです。

外宮をお参りしましょう。

JR伊勢市駅
JR伊勢市駅

1日でお伊勢さんを歩くつもりなら、午前10時にはJR参宮線か近鉄山田線の伊勢市駅に着くようにしましょう。名古屋からは約1時間半、大阪からなら約2時間で到着します。

伊勢市駅から南に外宮まで続く石畳の参道の中程にある、「伊勢菊一」というお店をのぞいてみましょう。元々は明治創業の打刃物のお店だったようですが、伊勢の文化を伝える書籍や外宮前ならではのオリジナル土産などが置かれている、ちょっと面白いお店です。「神話占合(うらなひ)」で遊ぶもよし、書籍や資料でお伊勢さんを学ぶもよし。

伊勢菊一
伊勢観光活性化に力を注いでいる「伊勢菊一」

神話占合(うらなひ)1回100円
筆者がひいた神話占合(うらなひ)1回100円 これからは、直感ですね。

伊勢あんちょこ(300円)
お伊勢さんの基礎知識を学べる、伊勢あんちょこ(300円)

参道を10分ほど歩くと、外宮に着きます。
ライフアシスト本誌の「電話局のある風景」で紹介した、旧山田郵便局電話分室のフランス料理店「ボンヴィヴァン」は、外宮の前にあるバス停の広場に面しています。

外宮に向かう第一鳥居口参道です。
掘川に掛かる火除橋(ひよけばし)を渡り、第一鳥居をくぐると、その先は聖域です。

外宮第一鳥居
外宮第一鳥居

外宮では御正宮(ごしょうぐう)からお参りします。その後、別宮の多賀宮、土宮、風宮の順が一般的です。

外宮の御正宮
外宮の御正宮

外宮をお参りしたら、つづいて内宮に向かいます。
外宮第一鳥居口とボンヴィヴァンの間にある広場から、内宮行きのバスが出ています。
お昼の時間なら、ボンヴィヴァンでランチをしてからバスに乗りましょう。

外宮前の広場
外宮前の広場

内宮行きのバス停
内宮行きのバス停

広場から見えるボンヴィヴァン場
広場から見えるボンヴィヴァン

内宮をお参りしましょう。

宇治橋を渡って内宮へ
宇治橋を渡って内宮へ

入口の象徴は、大きな鳥居と五十鈴川に掛かる宇治橋です。橋を渡って神域に入ります。
橋を渡って右手の方向に数百メートル歩くと、石畳を敷き詰めた「御手洗場(みたらし)」が、五十鈴川の川岸にあります。お参り前に身を清める、手水舎の原型になったと言われています。

宇治橋から望む五十鈴川
宇治橋から望む五十鈴川

五十鈴川の御手洗場
五十鈴川の御手洗場

内宮は御正宮までの距離がかなりあります。
壮大な森の奥に向かって玉砂利の道を歩いて行きます。
何時行っても多くの参拝者にあふれていますが、周りの喧噪に惑わされることなく神聖な空間に向かう心構えを整えながら歩いて行くと、厳かな気持ちが深まっていきます。

御正宮へ続く道
御正宮へ続く道

内宮の御正宮
内宮の御正宮

内宮の参拝順序は、御正宮、荒祭宮、風日祈宮、滝祭神の順が一般的です。

式年遷宮について

伊勢神宮では今、平成25年(2013年)に行われる、第62回式年遷宮に向けた準備が進められています。式年遷宮は20年に一度、御正宮の正殿をはじめ別宮の正殿や建物、装束、神宝をすべて新しく作りかえるお祭りです。御正宮の隣には新しい正宮が建築中で、着々と準備が進められています。

準備中の新しい内宮の御正宮
準備中の新しい内宮の御正宮

観察してみると、伊勢神宮の社にはかならず隣に同じ広さの空き地があります。遷宮の度に建て替えるための用地として用意されているのです。この土地は、新御敷地(しんみしきち)と呼ばれ、社の東西いずれかに位置しています。

外宮別宮土宮の新御敷地
外宮別宮土宮の新御敷地

伊勢神宮お参りのご利益は何でしょうか。
「伊勢あんちょこ」によれば、『神さまに感謝し、今自分がどれだけ幸せであるかに気づくことができます』とのこと。確かに、こうしてお参りできるのは幸せなこと。お伴が加齢のライター氏ではなく、家族だったらどれほど幸せなことでしょうか。

心のご利益はいただいたとして、現世利益もお伊勢さんの大切な楽しみです。

準備中の新しい内宮の御正宮

おはらい町通りの入口

宇治橋を渡って鳥居をくぐり神宮の外へ出ます。右手の方向に、伊勢参りに欠かせない「おはらい町通り商店街」があります。内宮の鳥居前から五十鈴川に沿って800メートルほど続く石畳の通りの両側には、江戸時代を思わせる趣深い建物の飲食店や土産物店、商家などが立ち並び、参拝後の町歩きが楽しめます。また、喧噪の通りを離れて、五十鈴川沿いを散歩するのも風情のあるものです。

おはらい町通り おはらい町通り おはらい町通り
さまざまな店が建ち並ぶ「おはらい町通り」

おはらい通りの中程にある「おかげ横丁」は、伊勢がもっとも栄えたといわれる江戸時代後期から明治時代初期の風情を再現したお店の集まるところです。飲食店や土産物店のほか、300年前のおかげ参りの様子を再現した歴史館「おかげ座」などがあります。

おかげ横町
おかげ横町

おかげ座
おかげ座

伊勢で甘味といえば、赤福です。私たちが神宮に向かうときには長蛇の行列でしたが、帰りには少なくなっていたので、赤福本店に入ってみました。赤福3個とお茶がセットになった「盆」(税込み280円)をお願いしました。赤福のあの独特な形は、伊勢神宮神域を流れる五十鈴川のせせらぎを模し、餡(あん)につけた三筋の形は清流を、白いお餅は川底の小石を表しているということです。緋毛氈の敷かれた縁側に腰掛けていただきました。美味しゅうございました。

観光客の行列が絶えない赤福本店
観光客の行列が絶えない赤福本店

お召し上がり「盆」(二人前)
お召し上がり「盆」(二人前)

町に夕暮れが迫ってきました。
 この旅のスタート地点である「旧山田郵便局電話分室」のある外宮前に戻って、お伊勢さんを後にすることにしました。
 次に来るときには、ワインを飲みながらボンヴィヴァンのフレンチをゆっくり味わってみたいものです。

ボンヴィヴァン

(LA No.106)

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