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夢のステージ マイセカンドライフ

雉とほろほろ鳥料理 きじの松田屋

きじの松田屋
松田 彰三さん(67歳) きじの松田屋店主

松田さん宅入口全景
松田さん宅入口全景

松田さんが、熊本県・菊池川の水源に近い里山に移住したのは13 年前。ひょんなことから出会った雉に魅せられ、「きじの松田屋」が誕生した。果樹の栽培など、里山での夢は更に広がっている。

本文

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雉とほろほろ鳥料理 きじの松田屋 本文(PDFファイル 583KB)

サイドストーリー

松田さん
松田さん

熊本市や大分県日田市とも隣接し、菊池川の上流に位置する人口5万人弱の町、熊本県菊池市。市の東部は阿蘇外輪山の西麓地帯となり、菊池川の源流部は菊池渓谷と呼ばれ、その渓谷美は名高い。また、南北朝の時代、南朝方としてこの地に勢力を誇った菊池氏の本拠地として歴史に名を刻む。江戸時代以降、この地方は米の産地として知られる。
昭和30年代からは温泉発掘により繁華な温泉街として有名だったが、近年はなめらかで柔らかな湯質を活かして、個人・家族を対象に保養型の温泉地にイメージ転換している。
松田さんが移住した菊池市四町分地区は、市の中心部から車で15分程、菊池川の水源付近となる標高250mの迫の谷という山里にある。周囲は竹林と雑木林の山に囲まれ、谷沿いに田畑がつづく。

雉料理を満喫

テーブル上に並んだコース料理
テーブル上に並んだコース料理

取材に訪れた日、撮影のために雉料理のフルコース(5000円)をお願いした。
フルコースの内容は「食前酒・前菜(ほろほろ鳥の自家製燻製など)・胸肉のたたき・熔岩焼・寄せ鍋・雑炊・漬物・コーヒー・デザート」と、盛り沢山にテーブルに並んだ。通常、料理は順次に出るが、撮影のために全てを並べてもらった。旬の山菜「タラの芽」の天ぷらが、サービスされた。
熔岩焼は、厚切りにした柔らかなメス雉の肉を、熱した厚い熔岩プレートの上で焼く。ジュウジュウと脂が溶け出し食欲を誘う。塩味だけの熱々の雉肉を頬張り、次いで新鮮な野菜を焼いて特製味噌を付けて食べる。雉肉の旨味とプリプリ野菜の甘みが口中に広がった。
寄せ鍋は、オス雉の腿と胸肉を薄目にスライスしたものだが、これはシャブシャブ程度に軽くスープにくぐらせて食す。鍋用のスープは、雉の骨(ガラ)を7時間も煮込んで作る濃紺な出汁である。まず、この鍋いっぱいのスープに、雉の肉を潰して作った肉団子を入れ、次いで野菜をたっぷりと入れる。雉の濃厚なスープに肉団子と野菜の旨味が溶け込んで絶妙のバランス・ハーモーニーを奏で始めた出汁に、雉肉をさっとくぐらせて“シャブシャブ”する。肉の色が少し変わったあたりで口に運ぶと、あっさり系ながらもスープに絡まった肉の旨味が広がってくる。肉、野菜と口に運ぶのに忙しい。寄せ鍋の楽しみは、肉と野菜でお腹が満杯になってもつづく。締めは旨味たっぷりのスープで作る雑炊。これまた別腹とばかりに食が進んだ。
「高タンパク・低カロリーの雉肉は、野菜と一緒に食べると大変バランスのよい健康的な美容食といえます」。松田さんの説明を聞きながら試食した雉肉の味は、歯応えがありながら柔らか、脂がありながら淡泊にしてジューシー、旨味たっぷり、ボリューム満点、幸せな気分になった。
デザートのアイスクリームは雉の卵を使った自家製、これに自家製のブルーベリーソースがかかった逸品。これからの季節、雉の卵でアイスクリームを作るのに忙しくなるそうだ。

負け越しつづけ、千秋楽に大金星

松田さんご夫妻
松田さんご夫妻

移住後の松田さんの日々は、雉の飼育と農業の田圃・畑、地区の共同作業、松田屋での料理人兼接客係と一人で四、五役の忙しさ。それを支えているのが奥様の昌美さんである。お見合いで結婚されたそうだが「15回目の見合いで、ようやく決まったんですよ。見合いの席で、お酒は飲みますかと訊かれ『いっぱいだけです』と答えました。それが良かったのかな…」と話す松田さん。傍らで昌美さんは「騙されましたよ。父が大酒を飲んだんで、お酒を沢山飲む人は避けたかったんですよ。一杯ぐらいならいいかなと、一緒になってみると大違い…」だったとか。松田さんは「嘘は言ってません!いっぱいはいっぱいでも、腹いっぱいのこといったんで、騙しちゃいませんよ。見合いで負けつづけて、相撲でいえば15日目の千秋楽に大金星を上げたようなものです」と大笑いした。奥様の手助けがなければ成り立たない、里山でのラストステージ、見事な鴛鴦夫妻ぶりを見せてくれた。

雉のこと

雉

雛

日本の国鳥に指定されている雉は、北海道と対馬を除く本州、四国、九州に留鳥として分布する。近年、北海道、対馬にも狩猟用として放鳥された高麗雉が野生化して生息する。山地から林、河川敷や農耕地の周辺に住み、木の実、草などの植物の他、昆虫など食べる雑食。オスは「ケーン、ケーン」と高い声で鳴き羽毛が美しい。食としての雉は、平安時代から宮中料理で最高の鳥肉の素材として珍重されていた。
「成鳥になるまで8カ月、これはブロイラーの50日、地鳥の3カ月に比較して長期の飼育が必要ですが、美味しさも栄養価もその分増すと思います」
「雉は一夫多妻で体重は1s程度になります。繁殖期は3月〜7月で、この間に40個ほどを産卵します」「卵は、飼育用の雛を孵化させた残りを、アイスクリーム用に加工して保存します」とのことである。さて、その雉の卵の大きさだが…。鶏、ほろほろ鳥、雉、と並べるとどれが一番小さいのか?答えは雉です。鶏が一番大きく、次いでほろほろ鳥、雉の卵は地鳥の卵よりちょっと小さいぐらいです。

雉肉と他の食肉とを成分比較すると下表のようになり、その栄養価の高さが分かります。

肉100グラム当たりの成分
肉100グラム当たりの成分
松田屋メニュー表より抜粋(出展:科技庁資源調査会編日本食品標準成分表より)

人生のラストステージ

柿・柚子・ブルーベリー畑
柿・柚子・ブルーベリー畑

豊かな自然の中で暮らす夢を実現した松田さん。人生の収支バランスには大満足し、夢は更に広がる。お金の方の収支バランスを訊ねるのは控えた。が、竹林や三町歩に及ぶ畑の取得、飼育期間が長い雉の餌代や食肉加工、業務用の大型冷蔵設備・雉舎やフラン器の光熱料、果樹の苗木、田圃や畑の改良等々を勘案するとビジネスとしての収支バランスはそう甘くはないようにも思える…。これまでの資金は、退職金や熊本市内に保有していた自宅の売却で賄ってきたそうで、そこには笑顔しかない。
ここでの暮らしがラストステージと自らが掲げるように、里山の自然の中で新たなステージが始まっている。雉やほろほろ鳥をベースにしながら、新たな農業、村落の活性につながる農業へ―。具体的には、ブルーベリーや柿、柚子、そして枇杷や養蜂へと連鎖して行くに違いない。それは、この地に生きるからこそ、行動するからこそ見え、やらなければならないと生まれて来たものに違いない。
「もう五歳若かったらいいんだが」という松田さんの言葉は、最後は体力がものをいう、生き物と土と自然を相手にすればこその、切ないまでの思いではなかろうか。

今を精一杯に生き、これまでも、これからも精一杯に生きる松田さん。そのラストステージに栄えあれ。

お知らせ

「きじの松田屋」ホームページでは、お店の予約の他に、雉やほろほろ鳥のこと、里山での暮らしを日々綴ったブログ「松つあん日記」がご覧になれます。
http://kijiya.sakura.ne.jp 或いは、“きじの松田屋”で検索下さい。

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(LA No.177)

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